「おう、どうだった？」
黒い５台の前に降り立つ帝王。

「レコード樹立っす！」
「レーシングのレコードと８秒差だって。」
「８秒か…そんなもんだろ。」
ちらりと目をやる赤。
降りてきた小さな体。
明らかに不機嫌な顔。

「お疲れさま！
いま写真判定中だよ。」
微笑みかけるワタルに返事もせず
ずんずん進む女神。
睨み付ける帝王。

「たかにーっ」
「なっなに怒ってんだよ。」
「手加減したでしょっ！」
「へ？」
ぎくりとする貴之。
膨らんだほっぺた。
こっそり笑う一同。

「手加減なんてしてねぇよ。」
「うそ！」
その時、響いた声。


『しゃっ写真判定の結果が出ました！
ありえねぇし、信じらんねえけど…』

水を打ったように静まる会場。

息を飲む２つの５人衆。

貴之を睨んだままのあやか。

気まずそうに頭を掻く貴之。


『どっ同着！！
引き分けだぁっっ！！』

力の限りに叫んだアナウンサー。

「えぇ～！？」
「同着なんてありえなくない？」
「でも見た感じは同時だったよな？」
「それにしたって～」
一斉に開く口。

『この写真、本部に貼っとくからっ
信じない奴は見に来い！！
俺だって信じらんねえよ！』