『うわっこわっ！
２列の６台でっ
並んだまま抜けてく！
こんな芸当っ生まれて初めて見たぁ！！』
「ハイウィンズさいこぉっ」
「レッドウィンズもさいこーだぜぇっ！」
「関東なんかじゃおさまらねぇっ
日本一だぁぁっ」
カラフルなウミヘビのようにくねくねとコースを泳ぐ隊列。
少しも乱れぬ動き。

『しかも早くない！？
ちょっちょっとっ
タイムは！？』
すっかり１ファンのアナウンサー。

『あっ…ウソだろっ』
木霊した呟き。
大きな電光掲示板。
映し出されたありえない数字。

『コースレコードと変わらねえじゃんっ
マジかよっ！？
あんなマネしててこんなに早いのかよ！？』
ざわつく会場。
見せつけられた実力。

『デモンストレーションは３周！
いよいよラストだぜっ！！』
叫んだアナウンサー。


直後に響いたスキール音。

観客の前に整列した１０台。


『うおぉぉぉっ
なっなんなんだ！？
女神と帝王だけっ？
あ…ラストでレコード狙いかっ！？』
大興奮の声。
当たり！とでも言うようにチカチカとパッシングする車たち。

『そうなのか！？
女神と帝王の本気の走り
全開バトルなのかぁ！？』
高まる期待。
沸き起こった大歓声。