「何やってんだ。
行くぞ！」
くわえタバコで言う貴之。

「どこに？」
「ドライバーはあっちだよ。」
優しく背を押すワタル。

「だって…
無免だからダメだって…」
「社長は知らないんだよ。」
「なにを？」
不思議そうな顔のあやか。

「サーキットは公道じゃねぇから無免でもいいんだ。
脇田のじじいが理事長だから話は通してある。」
「あたし走れるの！？」
「あぁ。
全開ぶちかませ！」
にっこり笑って撫でる薄茶の髪。
嬉しそうに輝く薄茶の瞳。

「あれっ？
それじゃワタルは？」
「俺は３２で行く。」
「そっか！
みんなで走れるんだね！」
ウキウキと歩き出す小さな体。
ざわざわと騒ぐギャラリー。
じろりと牽制する帝王。

「帝王！
準備万端ですよ！」
「ケイゴも来てたんだ～」
「女神っこんにちは！
自分の１８０も武王仕込みですから。」
「自分らもいます！」
ケイゴの横に並ぶ男４人。

「お～っ
ハイウィンズ５人衆が勢ぞろいかぁ！
すっごいねぇっ」
「そりゃあタダでサーキット飛ばせるんすから
来ないわけにはいかないっすよ。」
「そっか！
お金かかるんだ。」
「今日はゲストだからタダだけどな。」
笑って呟いた貴之。