「ぼく、あやかちゃんがだいすき。」
見送った白い車体。
口を開いた息子。

「はぁ！？」
「あやかちゃんとけっこんする。」
「ぶっ結婚かよっ」
吹き出して笑う父。
不機嫌そうな拓海。

「なんでわらうんだよっ」
「はっはっは
分からねえでもねぇよ。
かわいいもんな、あやかは…」
楽しそうに笑いながらタバコを取り出す大きな手。

「うんっかわいい！」
「でもなぁ拓海。
あやかは貴之が嫁にもらうって言ってたぜ？」
おもしろ半分に言った文太。
キッと睨みつけた瞳。

「たかにーにはまけないっ」
「あっはっは
負けず嫌いは俺譲りか！」
「わらうなっ！」
真っ赤になった拓海。

「はははっわりぃ。
まっ頑張れ！
あやかが嫁なら俺も嬉しいからな。」
「うんっがんばる！」
力強く頷く息子。
微笑んで撫でる頭。


「またくるよね？」
「あぁ、また再来週に来るってよ。」
２人で眺める通り。

「じゃあとうちゃんっ
あたらしいくるまかって！」
「あぁん？
なに便乗してやがんだ。」
「あやかちゃんはしろいくるまがすきだって。」
「しょうがねぇなぁ…」



そして


拓海の家には


白い車が増えていった。