「あの顔を…
あやかの笑顔を見れるなら…
あやかが笑顔でいられるなら何でもする。
そう…思ったんだ…」
静かに落ちた雫。
俯いた貴之。

「貴之…」
もらい泣きしそうな武田。

「さすが尚子の息子だ。
お前んとこの家系はみんな一途なんだな。」
優しく笑った文太。
すする鼻。

「そうっすね…
俺も尚子も…貴之の気持ちは分かります。
たぶん…
何を言っても聞きゃしねぇってのも分かるんで
応援するしかねぇってカンジで…」
「ふぅん…血筋だな。
あきらめるしかねぇな。」
嬉しそうに微笑んだ顔。
目をこする貴之。

「あやかは俺が守る。
だから…あやかは加藤あやかのままで
武田に預かってもらうんだ。」
「ん？
養子にするなら武田あやかだろ？」
タバコを取り出した大きな手。
また赤くなった顔。

「武田から原田じゃあ
母さんと同じじゃねぇか！
いいんだよっ加藤で！
１６になったら原田あやかになるんだからな！！」
はっきりと言い切った声。

「あっはっは
そこまで考えてんのか！
すっげぇな！
さすが尚子の息子だぜっ」
愉快そうに大笑いする文太。
ぽりぽりと頭を掻く武田。