「早熟なとこは尚子に似たみたいで…」
申し訳なさそうに頷く頭。
大きく息を吐いた文太。

「１０歳か…
まだまだガキに見えるけど
頭ん中は大人と変わらねぇのかもな。」
ぴくりと動いた貴之の眉。

しばしの沈黙。

「貴之。」
不意に呟いた文太。
顔を上げた貴之。

「あやかを守るんだな？」
「あぁ。」
「何があってもか？」
「何があってもだ！」
また真っ赤になった顔。
少し考え込む文太。
甥っ子と先輩を交互に見る武田。

「もし…
あやかが他の奴を好きになったら
どうするんだ？」
「な…」
絶句する貴之。
２階から微かに聞こえた笑い声。

「そっそれでもいい！
俺はあやかを守るんだ！
あやかの幸せが俺の幸せなんだ！！」
叫びに似た声。

「またおかしなこと吹き込みやがって…」
小さく呟いて睨む後輩。
とんでもないとでも言うように首を振った武田。

「吹き込まれてなんかいねぇよっ
俺がそう思ったんだ！」
文太を怒鳴りつける貴之。
ハッとする文太。

「初めてっ…あやかの…
笑った顔を見た時…思った。」
微かに震える声。
食いしばる歯。
潤んだ瞳。

黙ったままのオヤジ２人。