『ありえ…ない…あんなっ』
「何がだよっ」
「しっかり説明しろ！」
「そうだ！何があったんだっ！？」
交互に叫ぶ２人のオヤジ。

「ケンタ？」
『信じ…られません…
入れ替わった…』
「入れ替わったぁ？」
「それでどっちが前なんだよっ！？」
息をのんで返事を待つギャラリー。

『並んだ…まま…
ドリフトして流しっぱで…
ラインがクロスして…
左右が入れ替わった…』
「はぁっ！？」
同時に発した驚愕の声。

『また並んで…
２台で抜けていきましたっ
しっ信じらんねぇっ』
小さく頷いた涼介。
目を見開いたワタル。

「入れ替わるって！」
「成功したんだな。」
「さ…さすがあやかちゃんと藤原だ…」
微笑んでタバコを取り出す啓介。
安心したように呟く史浩。

「見てみたかったよな…
２人の走り。」
満足げに呟いた啓介。

「あとでＤＶＤ渡す。」
「えっ？」
「武王のスタッフが３人
ビデオ撮ってる。」
「マジかよっ」
「あぁ…あやかにはナイショだけどな。」
小さく笑った武王の主任。
またスピーカーから聞こえる発信音。

「次はゴール地点ですね。」
呆然としている２人に投げかける冷たい声。
黙ったままの父親２人。