「うん…
それでＦＣの事だけど」
「こっちで車屋を探す。」
冷めた声。

慌てる史浩。

「いや待ってくれ！
俺にやらせてくれっ」
熱のこもった瞳。

唖然とする涼介。

「群馬に武王から一人立ちした人がいて…
手が足りないから行ってやれって
社長に言われたんだ。」
「えっ」
「言っただろ？
俺は地元は群馬なんだ。
だから…喜んで受けた。」
にっこりと笑って見せる史浩。

信じられないと言う顔。

「しかし…」
「貴之の事なら大丈夫だ。
俺を移動させるように社長に薦めたのは
他の誰でもない貴之だから…」
「貴之が！？」
また目を見開いた涼介。

ふっと笑った史浩。

「腹は立つけど気になるんだろ。
それだけ涼介に期待してるんだと思う。」
「期待？」
不思議そうに呟いた声。

しっかりと頷いた同志。

「自分が有名すぎてＦＣに乗る奴がいない。
ＦＣのライバルが欲しいって言ってた。」
「そんな…」
「貴之は素直じゃないからな…
でもあの帝王が運転を教えるなんて
あり得ない事なんだぜ？
あやかちゃん専門のコーチだったんだから。」
笑顔で語る史浩。

まだ信じられないと言う表情の涼介。

うっすらと姿を現した月。