「やぁ…久しぶり。」
「あぁ…」
真っ黒な赤城の空。

沈黙したＦＣ。

降り立つ涼介。

目を見開く史浩。


見慣れたはずの切れ長の瞳。


記憶とは全く違う輝き。



たった数日で

人はこんなに変わるものなのか？


そんなにまで

あやかちゃんのこと…？


「何の用だ？」
「いやっあのっ
元気にしてるかなぁって思って…」
明らかに動揺した声。

黙ったまま自分を見つめるかつての同志。

観念したようにため息をついた史浩。

「ごめん…
伝えたい事があって…」
身動きもせず立ち尽くす涼介。

吹き抜ける一陣の風。

「どうしてわざわざ赤城に？
電話じゃ伝えられないような話か？」
「それは…」
言いかけてつぐむ口。

大きく深呼吸。

「あの日…
あやかちゃんと何があったかは聞かない。」
ゆっくりと話す落ち着いた声。

ぴくりと動いた涼介の眉。

「俺は涼介を信じてる。
だから、聞かない。」
「史浩…」
「貴之の怒りを静める事は出来そうにない。
だから…もう武王には」
「分かってる。
もう行かない。」
史浩の声を遮る低い呟き。

ひしひしと感じる絶望。

きりきりと痛み出す胸。

噛んだ唇。