「ふぅ…」

痛む体を預けるソファ。

なんだか見慣れぬ昼間の自室。

整理の付かない頭の中。


いつの間に寝てしまったんだろう…


しかも貴之に見つかるなんて…


最悪だ。



何度目か分からない大きなため息。

まぶたの裏に浮かぶ愛しい人の寝顔。

思い出すやわらかい唇。

熱くなった胸を押さえ込むようにきつく噛んだ奥歯。


「あやか…」


呟いた名前。

胸に広がる切なさ。

額に乗せた右手。



あぁ…俺は


こんなにも…


あやかを好きだったんだ。


でも


もう


会えないんだな…



体を蝕んで行く感覚。

呼吸すら出来ない様な絶望。

ぎゅっと瞑った瞳からこぼれる雫。



「あやかっ」



絞り出すような声。

生まれて初めて感じる痛み。



こんな…


こんなに痛いものなのか…


どうやって生きていけばいいのか


それさえ


分からなくなる。



激しく嗚咽する涼介。


痺れたように痛む左頬。

それ以上の痛みを訴える胸。


膝を抱きしめてうずくまる背中。


止まる事のない悲痛な声。


何度も呼ぶ名前。