「だからやだって言ってんだろっ！
どーしてあたしがたっくんとバトルしなきゃいけないんだよっ」
「武王の看板がかかってんだぞっ！」
いつものように怒鳴るあやか。
今回ばかりは負けずに言い返す武田。

「そんなん知るかっ」
「お前はレッドウィンズの看板だってしょってんだろーがっ」
「言うに事欠いてこの野郎っ
なんでてめぇのために走んなきゃいけねぇんだよっ！」
繰り出されたパンチ。
久しぶりのマジ切れ。
ふっ飛ぶ武王の社長。

「うわっ社長っ」
「白目むいてんぞ！」
「いっぺんぶち殺さねぇとわからねぇんだろっ
このバカはっ！」
慌てる史浩。
あせる啓介。
仁王立ちで吐き捨てるように言う女神。

「あやか。」
小さな咳払いと共に聞こえた低い声。

「あっ涼介さんっ」
ビクッと振り向く小さな肩。

「いくらなんでもぶち殺すは言い過ぎだと思うが…」
「あっごっごめんなさいっ
だって…」
不満そうに黙り込むあやか。
優しく髪を撫でる大きな手。

「確かにね…
親のケンカで子供がバトルなんておかしいけど…」
「そうだよっおかしいよ！
文ちゃんも熱くなっちゃってさっ」
じろりと見つめる後ろ姿。
その後ろにハチロク。