「でもあたしには優しいよ。
すっごくいい人。」
嬉しそうな声。


そっか…

武田さんがあやかを引き取ったなら

奥さんは義母って事になるのか。


開いたエレベーターに乗り込む二人。
閉まるドア。
不意に伸びた手。
無言で撫でる薄茶の髪。

「なに？」
少し笑って啓介を見るあやか。


若い男が近付くだけで震えてた…

なんで俺は平気なんだ？


「なぁに？」
じっと自分を見つめ
髪を撫で続ける啓介。

あやかは少し頬を赤らめて１階のボタンを押した。

啓介は手を下ろし
そっとあやかの手に触れた。

強ばる小さな体。