「あぁ、まだ言えない。」
「なにソレ。
緊急を要するんですけど？
今夜も仕事なんだよ。
このやろう。」
武田を見下ろす冷たい目。
小動物のようにおびえる武田。
啓介は少し笑った。

「仕事って…どこだ？」
「赤城にしてもらえないか交渉中。
てゆ～か疲れた。
もう夜しか運転しないよ、あたし。」
投げやりに言ったあやか。

「出たなっ気まぐれ姫！」
「るっさい！黙れ！
こんな事になったのも元はと言えばお前のせいだろうが！」
武田の胸ぐらをつかみ怒鳴りつける薄茶の髪。
あまりの迫力に圧倒される啓介。

「あ…」
やっちまったと言う顔で手を離すあやか。