「あやかを頼むわよ。」

赤い瞳で涼介を見上げる政子。


「はい。

大事にします。

あやかより先に死にません。」


「えっ」


「手紙…読みました。

返事が遅れてすみません。」


礼儀正しく頭を下げる涼介。


「あ！」


「手紙？」


ハッとした政子。

首を傾げるあやか。


「手紙って…」

呟いたワタル。


「大事すぎて…遠回りしました。

でも…もう迷いません。

あやかと２人で幸せになります。」


まっすぐ政子を見る切れ長の瞳。

息をのんだワタルと啓介。


「あやかは…

同じ気持ちなの？」


涙にかすれた政子の声。

潤んだ瞳で頷くあやか。


「あたしに異議はないよ。

アツ！お前はっ？」

「えっ！？」

「あやかの父親だろっ」

「おっ俺は…」


泣くのをこらえていた武田。

自分に向き直る涼介を見てあふれだした涙。


「りっ涼介…

お前は…あのっ…四年前から

ずっと…うぅ」


小さく笑って頷く涼介。


「あやかを…

幸せに…してやってくれっ

あやかの幸せのためなら…

なんだってするっ」

激しく嗚咽する武王の社長。