「たっくん…」

指を絡ませる女神。

確かなぬくもり。

さらに締め付けられる胸。


「あやかを…

幸せにして下さい。」


薄茶の瞳を見つめたまま呟く拓海。


「あぁ…

幸せにする。必ず…」


力強く言った涼介。


涙目で哀しそうに微笑んだ拓海。


「しあわせに…

なるんだよ。

あやか…」


「たっくんっ」

ほどかれた指。

駆け出す体。

病室を飛び出した拓海。


「藤原っ」

「しばらく…そっとしといてやれ。」

冷たい涼介の声。

静まり返る病室。


「あやか…」

「政子さん、武田…」

「もうっ心配させんじゃないわよっ！
血ぃ吐いて救急車なんてっ
何年寿命が縮んだかっ！」

「ごめん…なさいっ…」

子供のような表情のあやか。

そっと近付いて髪を撫でる政子。

潤んだ焦げ茶の瞳。


「よかったね…あやか。」

「うんっ…ふぇ～」

「うん…ほんとに…
ほんとによかったっ」

あやかに覆い被さって泣きじゃくる政子。

「うぉ～っ」

もらい泣きする武田。

苦笑する３人。