「藤原…お前は
あやかを愛してるんだよな？」

「はいっ…愛してます！」

まっすぐな瞳。

熱のこもった懐かしい声。

動揺を隠せないワタル。

「あやかの幸せを願ってるんだよな？」

「はいっ」

「じゃあ後は兄貴に任せろ。
邪魔すんな。」

「えっ…」

状況が飲み込めない拓海。

「あやかちゃんは涼介のところに戻ったんだ。」

まだ少し涙声の史浩。

「そんなっウソだ…」

信じられないと言う表情。

「あやかは…」


「胃潰瘍で血を吐いて倒れて…
気を失う瞬間に涼介さんを呼んだんだ。」


「えっ？」

「そうなのかっ」

「涼介を！？」

一斉にワタルを見る３人。

寂しげな顔で頷く武王の主任。

「たすけて涼介さんって
言ったんだって。
もう…決まりだろ。」

「あやかが…」

「貴之じゃなく…
涼介を呼んだんだな。
あやかちゃんが…」

俯くワタル。

また泣き出した史浩。


良かった…


貴之じゃなく涼介を呼んだ。


やっと


過去から解放されんだね。


あやかちゃん…


本当に良かった。


良かったね…


「俺はっ」


唇を噛む拓海。