「泣きてぇなら泣いちまえ！
今日は記念日だっ」
「涼介とあやかちゃんが…
うん…良かった…
本当に良かった！…うぅっ」

うずくまって泣き出す史浩。

背中を撫でる２人。


俺が藤原を連れていったから

一番会わせちゃいけない時に

あの２人が出会ってしまって…


俺のせいであやかちゃんの幸せを遠ざけた気がしてた。


でも…


元に戻ったんだね。


あの２人がまた見れるんだ…


こんなに嬉しい事はない…


「史浩…悪かったな。
俺と兄貴の間に挟まれて
いろいろ大変だっただろ？
ごめんな…」

「もう…いいんだ。
うん…良かった。」

やっと顔を上げた史浩。

３人で交わす笑顔。

「あっ」

凍り付く啓介の顔。

振り返ったワタル。

「藤原…早いな…」

呟いた史浩。


「あ…あやかは？」

肩で息をしながら３人を見る拓海。

「そのっ声！？」

目を見開くワタル。


本当に…

原田さんそのものだ！


これは…

あやかが離れられないのも納得かも…


「何が…あったんですか？」

肌に感じる異様な空気。

よぎる予感。

ざわざわと騒ぐ胸。

口を開いた啓介。