「うっ…ふぇぇ～んっ」


「ごめんね…あやか。」


「涼介さぁんっ」


「うん…大丈夫。
ずっとそばにいるよ…
もう離れないから。」


「やくそくっだからね！」


「うん。やくそく。」


「う…愛してるっ…」


「うん…愛してるよ…
あやか…」


かすかに聞こえる２人の涙声。

ドアの前で立ち尽くす３人。


「う…あやかっ」
「わっバカ！
ワタルっあっち連れてけ！」
「はいっ」
政子とワタルで引きずるように運ぶ武田。
放り出した渡り廊下。

「来るぞっ」
「来ますね！」
「うっうっ…うおぉぉ～っ」
膝をつき男泣きに泣く武田。
耳をふさぐ２人。

「うあぁぁぁ～あやか～っ」
見て見ぬふりをする看護士。
横目で謝罪する政子。

「ほれっハンカチ！
大の男がわあわあ泣くなっ」
「だってぇ…あやかがっ
あやかがぁ」
「バカたれぇっ
こっちまで泣きたくなってくんだろっ」
武田が掴んだハンカチを奪い取って
目頭に押し付ける政子。

「あやかがっ
あやかが…愛してるって言ってた。」
「うんっうん！」
「愛してるって…
あやかが…
うわぁ～んっ」
泣き出した政子。
抱き合う夫婦。