「あやかは…
普通の人より思い出や負い目が多い。
だけど、それもあやかの一部なんだよ。」

黙ったまま頷く女神。

潤んだ薄茶の瞳。

「そして、同時にそれは
あやかの魅力でもあるんだ。
周りの人はあやかを守りたいとか、支えたいって思うんだよ。
俺も…そう思ってる。」

ワタルの頬を伝い落ちる熱い雫。

「ワタル…」

「あやかは…言ったよね。
自分にはもう俺に愛される資格がないって…
でも俺は…ありのままのあやかを愛してる。
うん…今も…
その気持ちに変わりはないよ。」

長いまつげからこぼれる涙。

枕に落ちたかすかな音。

「こんなこと…言うのはっ
死ぬほど悔しいけど…」

歯を食いしばり俯くワタル。

「こんな俺でもっ
涼介さんには…
かなわないって思ってる。」


「…どうして？」


「俺は我慢できないよっ
あやかが苦しむからっ
二度と会わないなんて！
分かる？
俺は言ったんだ！
拓海ってヤツと一緒にいたってあやかは幸せになれないって…
涼介さんが一番あってるって…」


啓介に頼んでつないでもらった

最初で最後の電話。