「う…トモ…ちゃんっ」
「どうした？」
Ｔシャツを握りしめる小さな手。
苦痛にゆがむ眉。

「あやかっ！？」
「おなか…いたいっ」
うずくまるあやか。
包み込むように支える智幸。

「あやか？どうしたっ？」
「あやかちゃん！」
駆け寄る大輝と酒井。
真っ青な女神。

「最近…ずっと…おなかいたくて…」
「大丈夫かっ？」
おろおろとのぞき込む東堂。

「だめ…吐きそうっ」
「いい！吐いちまえ！」
口を押さえる細い指。
必死に背中をさする智幸。
何事かと出て来たガレージの男たち。
激しく咳き込むあやか。

「うっ…あっ」
「うわっ！」
「あやかっ」
「血！！」
真っ赤に染まった右手。
白い太ももにぼたぼたとこぼれる鮮血。
動揺する一同。

「やっやだっ
なにっこれ！？」
「あやかっ」
「あやかちゃんっ」
「女神！」
苦しそうに大きく息をする小さな肩。
思わず抱きしめた智幸。

「社長っ！救急車！！」
「あっあぁ！待ってろ！！」
怒鳴った大輝。
駆け出す東堂。

「やだっこわいよぅっ」
こぼれる涙。
赤く染まった智幸のＴシャツ。

「あやかっ」
悲痛な叫び。
息苦しいほどの無力感。