「あやか…そーゆーのは２人の時にしといてくれ。
俺の身が危なくなる…」
「えっ？なんで？」
寄り添ったまま首を傾げる女神。
顎で答える智幸。
目をやるガレージから覗く殺気立った瞳。

ある者は歯を食いしばり
ある者は拳を握りしめ
ある者は明らかに中指を立て
重なる２人を見つめていた。

「わっこわっ」
「お前は平気だよ。
あぶねーのは俺だ。」
「でもいいにおいだよ。」
「貴之も好きだったもんな。
あの芳香剤…」
「うん。おんなじにおいだね。」
嬉しそうに笑った後
急に沈んだ表情。

「どうした？」
「今日…たっくんに言われたの。
たかにーの話はしないでって…」
「え…」
「言われて気付いたの…
あたし…
いっつもたかにーの話ばっかりしてた。」
俯くあやか。
黙ったまま髪を撫でる智幸。

「もう…別れちまえば？」
「えっ？」
「なんかドロドロしてそうじゃねぇ？
だったら別れちまった方が
お互い楽なんじゃねぇの？」
「うん…別れようって言ったよ。」
「そっか…」
「でも…ムリだった…」
「え！？」
「あの…声に…
愛してるって言われたら…
何も考えられなくなっちゃうよ…」
「あやか…」