「ありがと…トモちゃん。」
すっかり鼻声のあやか。

「よく泣いたなぁ。
つめてぇよ。」
「半分鼻水かも。」
「げ～」
「ごめんね。」
「別にいいけどよ。
落ち着いたか？」
「うん…ありがとう…」
「目ぇ真っ赤。」
少し笑いながら
まつげに残る雫を拭き取る智幸。
ゆっくりと開いた薄茶の瞳。

「ココでいいのか？」
「うん…みんなの意見も聞いてみたくて。」
「なんかあったのか？」
「いろいろありすぎだよ。」
「秋名のハチロクと付き合ってるって？」
「うん…」
「アイツの声ってさ…」
「トモちゃん知ってるの？」
「あぁ…会ったことある。
貴之と…そっくりだよな。」
「うん…」
貴之とは大の仲良しだった智幸。
一番の悪友だと公言していた２人。

「いつか会うと思ってたけどな…
幼なじみだったんだって？」
「うん…ずっと会ってなかったんだけど。」
「声にやられちまったか。」
神妙な顔で黙り込むあやか。
じっと見つめる智幸。
そわそわと落ち着かない様子で２人を見守る大輝と酒井。

「声を聞きたいから…
一緒にいるなんておかしいよね…」
切ない声。
俯くあやか。
さらりとこぼれる薄茶の髪。
細い肩に置かれた手。