「ち…がうよっ
もうっ…ダメだよ…」

キリキリと痛む胸。

こぼれていく雫。

酸素の足りない体。

くらくらとしびれる感覚。


「あやか…」


あたしの大好きな声。


大好きなたかにーの声。


二年間


ずっと聞きたかった声…


「ごめん…たっくんっ」


聞かれないから

言わなかった。


あたしは


たっくんの中に


たかにーを見てた。


いつも目を閉じてた。


あたしは幸せだったけど


目を開けた時

いつもそこには

悲しそうなたっくんの顔。


たっくんを苦しめてるって分かってても


その声を聞いていたかったの。


「あやか…
やだよっ俺は別れたくない！」

あやかを抱きしめて絞り出すように言った拓海。

微かに抵抗する細い腕。

かまわず髪にキスして
さらにきつく抱きしめる熱い体。


「だめ…だよっ」

「だめじゃない！
俺はあやかを愛してる！」


激しく嗚咽するあやか。


別れなきゃいけないのに…


うれしい。


もっと聞きたい。


あたし…


どうしたらいいの？


たかにー…


なんで


どうして


死んじゃったの？