「なんだか賑やかだな。」
くわえタバコで目を細める文太。
青い３２。
赤いエイト。

「ご無沙汰してます！文太さんっ」
「おぉ！アツ！
久しぶりだな。」
「ぜんぜん顔ださなくてすいません！」
「お前も忙しいんだからしょうがねぇ。
あがってくだろ？」
「はいっお邪魔します！」
緊張した面持ちの武田。
後ろでクスクス笑う女神。

「なに笑ってんの？」
「え～だって武田めちゃキンチョーしてんの。
文ちゃんなのに…面白いじゃんっ」
つられて笑顔の拓海。


分かってないなぁ…

オヤジが笑顔で優しくするのはあやかくらいなんだよ。


他の奴もみんな

武田さんみたいに緊張するんだ。


黒いピンヒールを脱ぐ細い足。

「ねっ文ちゃんっ
おとうふと湯葉！
武田にも食べさせてあげてよ～」
バタバタと上がり込むあやか。
小さく微笑んでピンヒールを揃える拓海。

「武田？
『お父さん』だろ？あやか。」
「え～っ
武田は武田だよ。
お父さんなんて呼ばないもんっ」
文太に言われてとんがった唇。

「ずっと武田って呼ばれてるんで…
別にいいんすよ。」
「よかねぇだろ。
親子なんだろ？」
タバコを消しながら言う文太。