「そんなに…似てますか？
俺の声。」
あやかに聞こえないように囁く拓海。
大きなため息をつきながら何度も頷く武田。

「ウソだろ…こんな…」
アスファルトに左手をつき
右手で押さえる眉間。


似てる…

なんてもんじゃない。


貴之そのものじゃねぇか！


だから…あやかは…？


繰り返す深呼吸。
心配そうに覗きこむ拓海。

「しっかりしろ～たけだぁ！」
「いでっ」
後ろに回り込み蹴りあげる女神。
ゆっくりと立ち上がる武田。

「その…声…」
「びっくりするよねぇ。
たかにーと同じだもん！」
つい口をついた言葉。


「だから拓海なんだな。」

ハッとする２人。

「あっ…いや…なんでもないっ！」
慌てて首を振ってタバコを取り出す武王の社長。


『だから拓海なんだな。』

あやか…否定しないの？


やっぱり

声が同じだからなの？


黙り込んだ拓海。
気まずそうにタバコをふかす２人。


ココであたしが慌てて否定するのも嘘くさいよね。

どーしよ？


だって同じ声なんだからしょうがないじゃん。


ただ…


たっくんがあたしの一番好きな声なだけじゃん。


この声だからだよ。