「わっ」
突然、響いた振動。
鳴り出した着信音。

「あっ電話っ」
「ちぇっ誰だよ。」
「武田だ…ごめんね。たっくん…」
バツが悪そうに体を起こす拓海。

「もしもし？」
『あぁあやか？
今どこだ？』
「どこって…なんで？」
『今ちょーど秋名の近くだからさ。
文太さんち寄っていこうかと思ってんだ。』
「秋名？いま秋名だよ？」
『うっそ！マジ！？』
「うるさい！声デカい！」
『わりぃ…下？上？』
「下。文ちゃんち側。」
『おっそんならすぐだ！
待ってろ。』
「分かった。じゃあな。」
返事も聞かずに切る通話。
自分を覗きこむ幼なじみ。

「武田が来るって…」
「えっ？どこに？」
「ココ…」
「え？いつっ？」
「あ…いま。」
「へ？」
聞こえたエキゾースト。
まぶしいライト。
現れた青。

「えっあの３２って」
「あたしが乗ってたやつ。
リハビリ変わりに武田が運転してんの。」
最近はしっかり武王に帰るあやか。
週に３日の割合で訪れる藤原とうふ店。

「武田さんって…
俺ぜんぜん覚えてないや…」
「ぶっ」
突然、吹き出した女神。
きょとんとする拓海。
隣に止まった青。