「でも…」
不意に真顔になる女神。

「なに？」
「あたしが運転していいの？」
「なんで？」
「えっなんとなく…
やじゃないかなぁって思って…」
「ん～？別に…平気だけど。
なんで？」
覗きこむ薄茶の瞳。
くるりと回った目線。

「たかにーは嫌がったからさ。
あたし…ＦＣ運転した事ないもん。」
一瞬、止まる心臓。
不安を打ち消すように重ねる唇。
何度も出てくる今は亡き人の名前。


俺が同じ声だから？


だから思い出すの？


同じ幼なじみだから


言っても平気だと思ってるの？


どうしたら


あやかの中のたかにーを消せるんだろう…


「んんっ」
「またそうやって反応する。
ぜったい誘ってるよな…」
「ちっちがうもんっ」
「ふふ…顔まっか。
かわいい。」
「やだっ」
顔を背けるあやか。
今度は耳を標的にする拓海。

「やっ！やぁんっ」
「なんか…やりたくなってきた。
ウチ帰ろうか？」
「ハチロクの走りをっ
見せに来たんでしょっ…やっ」
「それともココでやる？」
「たっくんっ…だめっ」
「ま～たそうやってかわいい声…
もっと聞きたくなるだろ…」
のびていく大きな手。
熱い吐息。
再び重ねる唇。