「早いな、藤原…
どうした？」
約束の時間の少し前に現れた史浩。
見たこともない暗い顔の拓海。

「史浩さん。
聞いていいですか？」
「ん？…あぁ。」
「あやかは…俺と一緒にいて…
幸せなんでしょうか？」
俯いたまま呟く沈んだ声。
出てこない言葉。


啓介は…

藤原に何を言ったんだ？


藤原はあやかちゃんをあきらめてない。


それだけ思いが強い？


でも…

涼介が一番あやかちゃんを…


「それは…俺に聞くことじゃないだろう？」
「えっ？」
「答えはあやかちゃんにしか分からない。」
ハッとして顔を上げる拓海。
まっすぐに見つめる瞳。

「あやかちゃんに聞くのが怖いのか？」
「あ…」
「俺だって…
俺なりにあやかちゃんの幸せを祈ってる。
幸せかどうか怖くて聞けない…
それは必ずしも幸せとは言えないと思う。」
泣きそうな顔で俯く横顔。
大きく息をした広報担当。

「藤原はどうなんだ？」
「えっ？」
史浩を見上げる拓海。

「あやかちゃんと一緒にいて
幸せなのか？」
「あ…俺は…」
泳ぐ目線。
苦しい胸。


幸せ？


俺はあやかを愛してる。


でも


ただ…苦しいだけだ…