「言われてねぇんだろ？
あやかはなぁ…
兄貴に会うまで好きって言えなかった。
男性恐怖症だった。
兄貴に出会えたからっ
今のあやかがあるんだぞ！」
「啓介っもういい！」
「よくねぇだろっ？
藤原といてあやかが幸せだってのも
兄貴の憶測でしかねぇ！」
ぴくりと反応する兄。
苦しげな表情で俯く拓海。


あやか…

そうだ…

俺は一度もあやかの気持ちを聞いてない。


言わなくていいって…


本当は聞きたくないだけだ。


俺は

あやかの全部を受け止められない…


そんな俺と一緒にいて

あやかは幸せなのか？


黙り込んだ拓海。
じっと見つめる涼介。

「決めるのはあやかだ。」
「えっ」
「あやかが何をしても…
誰を選んでも…
あやかが幸せならそれでいい。」
「涼介さん…」
「俺は…もういいんだ。」
「兄貴…」
「啓介も…あまり熱くなるな。
時間が解決する事もある。
下手に動いてあやかを苦しめないようにしろよ。」
冷たく呟いて背中を向ける涼介。


兄貴…

ホントかなわねぇ。

どんだけあやかを愛してんだよ…


こんな愛し方があるなんて…


信じらんねぇよ…