「苦しそう？あたし…」
「う～ん…少なくとも
幸せそうには見えないよ。」
悲しそうな顔で囁くワタル。
口をつぐむ女神。

「まぁ時間が解決する事もあるし。
あやかがしたいようにするのが一番よ。」
「うん…」
「俺はずっとそばにいるから。
それだけは確実だからね。」
「うん…ありがと。」
呟きながら押し付ける耳。
伝わるぬくもり。
耳に響く鼓動。
初めて考える自分の気持ち。


あたしは…

何をしてるんだろ？


たっくんの声。


たかにーと同じ声。


たっくんの事は好き。


だけど…


涼介さんの事を考えると

息も出来ないくらい苦しくて…


何も言わなくていいって言われてほっとした。


だけど…


ホントは聞いてほしいの。


鳴り出した電話。
仕事に戻った政子。
満足げに事務所を後にする社長。

「あやか？大丈夫？」
「うん…ありがとう、ワタル。」
「どういたしまして。」
にっこり笑い合う２人。

「コレはココね。」
「うん。」
あやかが手にした封筒。
差し入れた機械。
動くシュレッダー。


そして

同じ頃

遠い高崎の地で


もう一つの波乱が起こっていた。