「あやか。
あたし達だってそうよ。
何があっても
何をしても
あたし達はあやかの味方なんだからね！」
潤んだ瞳で言い聞かせるように言う政子。
返事も出来ずに嗚咽するあやか。
しっかりと優しく包み込むワタル。

「でも…」
「ん？なに？」
「ワタルは…つらくないの？」
「えっ？」
「いまの…まんまで…いいの？」
涙でかすれる声に
小さく笑って答えるワタル。

「俺はいいよ。
こうして一緒にいられれば…」
「ワタルはドＭだから平気だ！」
「まっ政子さん！」
「Ｍじゃなきゃ何年も我慢できるわけねーだろ。」
半ば呆れたような声。
あぐあぐと口を動かす社長。

「Ｍ…ですかね？俺…」
「間違ってもＳじゃねぇだろ？」
「ははっ確かに…」
うっとりとした顔で薄茶の髪に落とすキス。


こうやって抱き合えること。

原田さんが生きてたら考えられなかった。

腰の傷と

原田さんの死。


俺とあやかの間には

負い目がありすぎる。


重たい絆がありすぎなんだ…


だからって

嫌いになんかなれない。


ただただ

愛し続けるしかできないんだ。


あやか…


それでも

俺は

幸せなんだよ。