「秋名？」
『ええ…昨日は秋名で走りましたよ？』
「ツレいた？」
『いいえ、あやかさん１人でした。』
「ふぅん…そうか…」
子機を肩に挟んでタバコに火をつける武王の社長。

『あやかさんのエイトってもしかして…』
「あぁ…水素ロータリーだ。
すっかり噂が広まっちまったな。」
『やっぱり！
来年には公用車にリースされるって聞きましたけど…』
「さすが情報はえぇな。
パトカーだから最速にしねえと。」
満足げに笑う武田。
目の前にある赤。
つないだモバイル。

『あっウチの次のやつも
武王さんで乗ってもらえませんか？』
「ん？次？」
『まだ極秘なんですが…
ＧＴ－Ｒが復活するんです。
そろそろテストに入ります。』
「おっあの話はマジだったのか！
そうだな…Ｒならワタルに任せればいい。
最近、俺よりいい仕事するからな。」
『はい！
その時はお願いします！』
「あぁ…また電話する。」
『はいっ失礼します！』
相変わらず声のデカい灰田。
苦笑いしながら切る電話。
目をやる液晶。

「さすがだな…
キレイに乗ってる。」
平均速度、燃費、回転数。
データを取り込む武田。
何もかもが理想的な数値。
女神の凄さを語る数字。