「頼む！藤原っ
もう一度あやかに会いてぇんだ！
協力してくれ！」
顔の前で両手を合わせて下げる頭。
こっそりと笑う口元。


よーしっ

これで連絡先が分かって

しかも藤原にあやかをあきらめさせる。

一石二鳥だぜ。


「あ…無理ですっ」
「なっなんだとっ？」
顔を上げる啓介。
首を振る拓海。

「なんでだよっ
連絡先くらい」
「いやっ…無理っすよ。
絶対…」
「なんでっ」
「あやかは渡せません！」
まっすぐな瞳。
はっきりと言った拓海。
不機嫌になる啓介。

「たかが幼なじみだろっ」
「もう幼なじみじゃないっ！」
「は？」
思わず叫んだ声。
守りたい人。
愛する女。
早鐘を打つ胸。

「あやかは俺のです！
誰にも渡さないっ」
「はぁ？
なに言ってんだ」
「この前…
あやかを抱きました。」
「なっ」
「もう何度も抱いてます。
今のあやかは…
俺のです。」
力強い低い声。
動揺を隠せない啓介。

「ウソ…だろっ」
「ウソじゃありません。
本当です。
俺はあやかを愛してます。」
真っ赤な顔。
まっすぐな瞳。
タバコを吸うのも忘れて
立ち尽くす啓介。