「おっ早いな！
今日は来るんだよな！」
「あぁ…来るけど…」
「そうか！湯葉とっといたぜ。
あやか好きだろ？」
「うん…」
自分よりウキウキしている父。
おもしろくない拓海。

「なんか見せたい物があるって言ってた。」
「見せたい物？
なんだろうな…」
「さぁ？
俺は部屋にいるから…」
「あぁ…ん？
いらっしゃい。」
店先へと向かう文太。
階段を上る拓海。

「おいっ拓海！」
「なんだよ？」
「お前に客だ。」
「えっ？」
覗くと視界に飛び込む鮮やかな黄色。
くわえタバコで自分を睨む長身の男。

「啓介さん！」
「おぅ。久しぶりだな。
ちょっといいか？」
「はい…」
不思議そうな顔をしながらも
靴を履いて外へ出る拓海。
落ち着かないそぶりの啓介。

「どうしたんですか？
わざわざウチに来るなんて
Ｄで何か」
「いやっ
今日はＤの話じゃねえんだ。」
「えっ？じゃあ…」
見たこともない余裕のない表情。
胸騒ぎを覚える拓海。
不意に聞こえた愛しい人の名。

「あやかのことだ。」
「えっ？
なんで啓介さんが…」
「あやかは兄貴と付き合ってたからな…」
「あっ…」


やっぱり本当だったんだ…