「おかえり～武田！」
「お久しぶりです。社長！」
「おかえりなさいっ」
「おぉ～っ
やっぱり落ち着くなぁ！
この匂いっ」
微笑むあやか。
涙ぐむ武田。
まだ少し不自然な歩調。
蒸し暑い夏の昼下がり。
笑顔が溢れる武王。

「でっ？
あたしの車は？
夜に仕事なんですけど？。」
待ちきれないと言う表情のあやか。
目を合わせる社長と主任。

「ついに…出す時が来たな。」
「何もったいぶってんだよっ！
てめぇがとっとと退院すりゃあ
もっと早く出せたんだろっ？」
「いってぇっ！蹴飛ばすなっ」
「わざわざキーロックなんぞ付けやがって！
国家機密でも隠してんのかってんだよっ」
キックにパンチ。
遠慮ない攻撃。

「いでっいででっ」
「ほら、そのくらいにして。
こっちだよ。」
「置いてある場所くらい知ってるもん！」
優しく薄茶の髪を撫でるワタル。
ぷぅっとふくれたほっぺた。
３人で進むガレージ。
突き当たりにあるシャッター。
カチャカチャと押すテンキー。

「０３０７？
あたしの誕生日…」
「そうだよ。
いつ開けられるかとビクビクしてたんだけどね。」
「そんな…想像もしなかったよ…」
呆然とするあやか。