「もう…別れたんですか？」
どちらともなしに聞く拓海。

「あぁ…
あやかちゃんは別れたって言ってたぞ。」
タバコを消しながら答える星野。
動揺を隠せない幼なじみ。

「愛する女の過去は気にしないのが一番だ。
今のあやかを愛してるんだろう？」
「えっ！？」
「見りゃあ分かる。
隠したってムダだぜ。」
ポンと肩に置かれた大きな手。
真っ赤になった拓海。
初めて見る表情に驚く史浩。

「そんな…あやかに会ったのも久しぶりなんすよ。
十年ぶりくらいです…
それなのにっ」
「会わねえ時間なんざ関係ない！
一目惚れって事もあるしな。」
「か…勘弁して下さい。」
「あっはっは！
認めたな！」
更に赤くなった顔。
俯いて顔を押さえる右手。
楽しそうに笑う星野。

「藤原…お前は…」
「初恋…だった事は確かです。
でも…ホントに…
最近っすよ。
また気になりだしたのは…」
「ん～？
そっちの原因はなんだろなぁ？」
「オヤジです。
俺がいない時にあやかが来たらしくて…
すっげえキレイになってたってしつこくて…
また来るって何度も聞かされたんです。」
「確かにキレイになったよな。うん！
もともとかわいいけど…」