「たっくん？」
「あやか…久しぶりだな。」
涙が出そうになる声。

懐かしい面影。
がっちりとした厚い胸板。
見つめ合う２人。

「あやか…」
自分を見つめる潤んだ薄茶の瞳。
それだけで高鳴る胸。

「会いたかった…」
そう呟くと
溢れだした雫。
優しく抱きしめる拓海。


この涙は…

俺に会ったから？

それとも…

懐かしい声を聞いたから？


ざわざわと騒ぐ心。
確かに伝わる体温。
甘い吐息。

「あやか…
泣いていい。
泣きたいだけ泣け。」
耳に囁くと激しく嗚咽するあやか。
髪の毛に頬ずりしながら抱きしめ直す拓海。


そんなのどっちでもいい。

またあやかに会えた。

それだけでいい…


あやか…


吸い込む甘い香り。
優しく撫でる髪。
それを見つめる星野好造。

「ぬぅ…くそぉ！」
「じろじろ見るんじゃないよっ好ちゃん！
あれ…Ｄって確か
赤城の白い彗星がかんでるんだよね？」
「はい。そうですね。
ヒルクライムは弟の啓介が走ります。」
「弟…」
振り向く星野。
頷く城島。

「今度のバトルはオレ達が出る。」
「えっ？」
「あやかちゃんを泣かせた男に一泡ふかせてやる！」