駆け上がる階段。
愛しい女神。
たどり着いたドア。

「兄貴、起きてる？」
２回ノック。
微かに聞こえた声。
勢い良く開けたドア。

「あっ」
目の前に広がる光景に
息が止まった啓介。

月明かりが照らす青白い部屋。
ほのかに香る甘い匂い。
脱ぎ捨てられた洋服。
ベッドの上に横たわる２つの影。

安らかな寝息。
小さな肩。
なめらかな背中。

「ちょっと待てと言っただろう…」
呟きながら体を起こす兄。
そっと肌掛けをかけて隠す小さな肩。
ベッドの下から拾い上げたシャツを羽織る涼介。

「どうした？」
兄の声にハッと我に返る啓介。

「いやっ…あ…
３２…持って来たんだけど…」
動揺を隠せずに
思わず押さえた口。

「ガレージに入れておいてくれ。
たぶん起きないだろう。
あやかは…」
隣で眠る愛しい人を見つめる涼介。


疲れるような事したから？


言葉を飲み込む啓介。

「わかった…
うん…おやすみ。」
「あぁおやすみ。」
後ずさりして閉めたドア。
異常に暴れる心臓。


セックス…

したんだ。

あやかと…


見開かれた瞳。
不自然な深呼吸。