端正な顔。

ギラギラした瞳。

自分よりも高い背。

やわらかい声。


何もかもが完璧で

気味悪いくらいお似合いだった。


原田さんとあやか。


一緒にいるのが当たり前みたいな２人だった。


「でも…もういねぇ。」
ハッとするワタル。

「あの人はもう
あやかに触れる事も
抱きしめる事も出来ねぇんだぞ？
生きてる俺らの方がぜってぇに有利だ。」
そう言って笑って見せる啓介。
ぽかんとした顔のワタル。

「あ、でも今は兄貴がいるから
この上なく不利だな。」
呟いて吐き出す煙。
また笑い出したワタル。

「ははは
どっちにしても不利か！
そうだよな。」
「そうだ！
今は兄貴だぜっ
もう死んじまった人間に
かまってる暇ねぇぞ！」
「そうだな。
そばにいれなきゃ
意味ねぇもんな。」
微笑んで呟いた言葉。
誰よりも女神のそばにいた自分。


死んだら思ってくれるかと

思った時期もあった。


でも…

もうあやかにあんな思いはさせない。


死んで泣いてもらうより

生きて笑顔を支えたい。


あやかのそばにいれれば

それでいいんだ。