「ちゃんと連絡してやれよ。」
「えっ？」
「心配してんだろ。お前のこと…」
鼻の頭を掻く太い指。


なんだか…

ヒトゴトじゃなくなってきたぜ。


啓介は沸き上がる熱いものを振り切るように目を瞑った。


「うん…」
そう言って通話ボタンを押し
ケータイを耳にあてるあやか。

『っもしもしっ？』
「あ…ワタル？…あたし。」
『怪我はっ？無事なのかっ？』
呼び出し音も鳴らずに出たワタル。
あやかの一番の理解者。

「大丈夫。怪我はないよ。」
『はぁ…よかったぁ…
あっ車は？』
「よく分かんないけど…ダメみたい。」
『そうか…今どこなの？』
「群馬…」