「まぁでも今となっちゃ
この傷ぐらいだけどな。
後遺症とかもねぇし…」
紫煙をはきながら自然な笑顔。
動きの止まる啓介。

「あやかのせいじゃねぇのに…
負い目を感じてるのは見てて分かった。
それが…苦しい時もあったな。」
遠い目をして呟くワタル。
複雑な表情の啓介。


コイツは…

俺が思ってる以上に

あやかを大事にしてきたんだ…


かなわねぇよ…


「負けた。」
「ん？何が？」
「お前の…あやかに対する気持ち。
すげぇよ。」
「はぁ？なに言ってんだよ。急に…」
呆れたような顔。
また吸うタバコ。