懐かしいロータリーのため息。
目を閉じたあやか。


こんな音はもう

二度と聞けないと思ってた。


「すごい…」
動きの止まった体。


懐かしすぎて息が止まりそう。

どんな人が運転してるんだろ？

頭がくらくらする…


ガードレールに腰掛けて右手で顔を覆うあやか。
耳に届くエキゾースト。

「来る…」
上げた顔。
見えた光の線。
姿を現した車。

「あっ…」
予想していた形。
一番見たくなかった色。
目を射すライト。
反射的に顔を背けると
爆音と共に目の前を駆け抜けていく白い影。

「うっそでしょっ？
白かよっ！」
苦しそうに叫びつつ追うテールランプ。
パッと光ったブレーキランプ。
ものすごい音を響かせてくるりと回った車。