「あっ」

やっと浮かんできた昨夜の記憶。

蘇る恐怖。

耳に残るＦＣの声。

助手席から見た異世界の景色。

「よく見ると…
ちっとも似てないじゃん。」
少し笑ったあやか。


背が高くて細い。

シルエットは同じかもしれない。

車はまるっきり同じだったけど…


「こんなカッコで寝ちゃって…
足とかしびれないのかな？」
そっと撫でた髪の毛。
少しだけ感じる懐かしさ。
不思議な感覚。

『兄貴？起きてる？』
ノックの音と共に聞こえた声。
起きそうにない彼。

「まだ寝てるよ。」
体を起こしながら小さな声で言うあやか。

『入るぞ？』
「うん。」
直すキャミの肩紐。
さらりとこぼれる薄茶の髪。