「大丈夫？あやか…」
「うん…へいき。」
力なく呟く横顔。


嘘だ。


今にも泣きそうな

苦しそうな顔…


思い出してるんだね。

貴之を…


「どうだった？」
「えっ？あぁ…
やっぱりすごいね。涼介さん…」
無理矢理に作る笑顔。


ほとんどロスのない動き。

コントロールもばっちりだった。


だからこそ…

胸が苦しくなるの。


忘れるわけがない…


思い出してしまった。


たかにーに

よく似てる。


胸が…


苦しい。


でも…もう泣かない。


『コンコン』
助手席の窓を叩く手。
タバコをくわえている啓介。
開けた窓。

「なぁ…上り運転して？」