「たかにぃ…」
耳に転がり込んだ甘い声。
あやかの顔をのぞき込む涼介。

閉じられた瞳。

並んだ長いまつげ。

ふんわり開いた唇。

規則正しい呼吸。

「あやか…」
自分を包む甘い香り。
騒ぐ胸。
涼介はそれを打ち消すようにドアを開けた。

そっとあやかを助手席に座らせる。

ずり落ちたキャミソールの肩紐。

白い首。

浮かぶ鎖骨。

小さな肩。

たくし上がったスカートをそっと直して
優しくドアを閉めた。

「兄貴…？」
ふいに聞こえた声。
振り返ると目に飛び込む鮮やかな黄色。
呆然としている弟。