頭を撫でる大きな手。
大嫌いで懐かしいタバコの臭い。

「大丈夫だ。
俺はお前のパパとは違う。
お前を殴ったりしない。」
あたたかい瞳。
優しい声。
遠い昔の記憶。

「ぶんちゃん…」
「覚えててくれたか。
あやか…」
細い目をさらに細くさせて微笑む文太。
潤んだ瞳で頷くあやか。

「文太があやかちゃんと最後に会ったのはいつだ？」
「貴之の葬式だ。」
呟いた文太。


たかにーのお葬式…

あたしはほとんど覚えてない。

ぼんやりしてて夢の中みたいなカンジだった…


「え？あの時か？
俺は会ってないぞ。」
「トイレに行ったら会った。」