「あっどっどうぞっ！」
我に返って先導する池谷。

「うわっ女！」
運転席を覗きこんだイツキがあげた声。
顔を上げる女。

「ハイオク満タンね。」
そう言ってにっこり笑う赤い唇。
見とれて忘れた返事。

「やっぱり…」
Ｒのエンブレムの横に輝くステッカー。
完全会員制のショップが納得して送り出した証拠。
乗り手も選ぶ武王が認めた一流の証し。


この人が…？


池谷はガラスを拭くためにダスターを手にして
前に回り込んだ。

「あのさ…祐一って人いる？」
サングラスを取って自分を見上げる瞳。
息が止まった池谷。