「俺が武王を辞めた後じゃないかな？
だって俺が辞める時には泣きながら抱きついてきたし…」
「そっか…
史浩はなんで武王を辞めたんだ？」
左折でハンドルを切りながら表情を伺う啓介。
少し笑う史浩。

「社長に言われたんだ。
涼介は必ず伸びる。
俺が貴之を育てたように
お前が涼介を育ててみろって…」
「へぇ…あのオッサンなかなか見る目あるな。」
嬉しそうな弟。
頷いた史浩。

「そうだな。
今じゃあ俺の方が育ててもらってるようなもんだけど…」
「いや。
よくやってるよ。史浩は…」
「大事な命を預かる仕事だからな…
こっちも命がけなんだよ。」