「爪…すげぇな。」
「あっうん。
友達がやってくれるの。」
小さな手を包み込むように持ち上げて
しげしげと眺める啓介。
揺れる薄茶の瞳。

「怖い？俺…」
「えっ？」
ハッとするあやか。


武田の野郎…

言いやがったな。


「ううん。へいき。
怖くないよ。」
首を小さく振って啓介を見上げるあやか。
優しい笑顔でそれに答える啓介。

「なんで平気なのかな？
自分でも不思議。」
はにかんだような笑顔。


恐怖も不安も感じない。
胸にある安心感。

どうして？

会ったばかりなのに…

熱くて大きい手。

涼介さんとおんなじ…


エレベーターが１階に着き

二人は歩きだした。