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オケアノスの流れに
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悲劇は、いつだって彼女のもとへ訪れる。
ハリー・ポッターに血の呪いの症状が表れたのは、闇の帝王との戦いが終わって、数年経った後。諸々の事情によって大幅に軽減された刑期を終え、両親の死を招いた罪をポッターに打ち明けた後 、ぎこちなくはありつつも彼女と友好的な関係を築いてきた矢先のことだった。
Mrs,ウィーズリーの梟が届けてきた報せを受け、私は聖マンゴ魔法疾患傷害病院に駆けつけた。そこで知った事実は、ハリー・ポッターが血の呪いを宿しているという事。そして、人間としての生が残り僅かだという事だった。
癒者の説明に、私は有り得ないと食ってかかった。マグル生まれのリリーは血の呪いを宿してはいなかった。ならば、母から娘に遺伝する呪いがポッターに宿るわけがない。
何かの間違いだ、と癒者の襟首を掴む私の腕を抑えたのは、大戦後にポッターと友人になったというドラコ・マルフォイ。しかし、抑えられた拍子に彼の左手薬指にはめられた指輪が視界に入り、私は動揺のすえ彼を突き飛ばしてしまった。我に返ってその場で謝罪をしたものの、返ってきたのは苦しげな愛想笑い。当然だ。彼の妻もまた、血の呪いにかけられているのだから。生涯を誓い合った妻だけでなく、命を救ってもらった友人さえ血の呪い に奪われる彼の心中は、如何ばかりか。自分の至らなさに反吐が出そうな思いだった。
ドラコの妻アストリアにかけられた呪いは、先祖から長い年月を経て再発したもの。つまり、エヴァンズの先祖に血の呪いの被呪者がいれば、ポッターも有り得なくはないのだ。
どうしようもない事実に、頭を叩き付けられる。現実を否定する証拠材料が無いことに歯痒さを覚え、私は混乱する頭を掻きむしりたくなった。刺激したところで、彼女を救う手立ては思い浮かびやしないのに。
「……ハハ、」
救う? 彼女が家畜として屠られることを容認した私がか。自暴自棄な笑いが、胃の腑と共に腹から込み上げる。
闇の帝王を倒すにあたって、彼女の死は避けられぬ犠牲。ハリー・ポッターが死ななければならない事については、苦虫を噛む思いで肯首した筈で、私はそれに従って、闇の帝王の右腕を演じ通した筈だった。今更、ポッターが死ぬことに抵抗なんぞある筈もない。そう思い込んでいた。その筈だった。
「ハ、……ハハハ」
私はいつだって、手の施しようがないほど手遅れな事態になってから、大切な物に気付く。掌から零れ落ちていく砂粒のようなソレを、本来ならもっと形づいていたであろうソレを、私はいつも、ただ失わずにすむよう握りしめて、その分苦しめてしまうのだ。
ハリー・ポッターに血の呪いの症状が表れたのは、闇の帝王との戦いが終わって、数年経った後。諸々の事情によって大幅に軽減された刑期を終え、両親の死を招いた罪をポッターに打ち明けた
Mrs,ウィーズリーの梟が届けてきた報せを受け、私は聖マンゴ魔法疾患傷害病院に駆けつけた。そこで知った事実は、ハリー・ポッターが血の呪いを宿しているという事。そして、人間としての生が残り僅かだという事だった。
癒者の説明に、私は有り得ないと食ってかかった。マグル生まれのリリーは血の呪いを宿してはいなかった。ならば、母から娘に遺伝する呪いがポッターに宿るわけがない。
何かの間違いだ、と癒者の襟首を掴む私の腕を抑えたのは、大戦後にポッターと友人になったというドラコ・マルフォイ。しかし、抑えられた拍子に彼の左手薬指にはめられた指輪が視界に入り、私は動揺のすえ彼を突き飛ばしてしまった。我に返ってその場で謝罪をしたものの、返ってきたのは苦しげな愛想笑い。当然だ。彼の妻もまた、血の呪いにかけられているのだから。生涯を誓い合った妻だけでなく、命を救ってもらった友人さえ
ドラコの妻アストリアにかけられた呪いは、先祖から長い年月を経て再発したもの。つまり、エヴァンズの先祖に血の呪いの被呪者がいれば、ポッターも有り得なくはないのだ。
どうしようもない事実に、頭を叩き付けられる。現実を否定する証拠材料が無いことに歯痒さを覚え、私は混乱する頭を掻きむしりたくなった。刺激したところで、彼女を救う手立ては思い浮かびやしないのに。
「……ハハ、」
救う? 彼女が家畜として屠られることを容認した私がか。自暴自棄な笑いが、胃の腑と共に腹から込み上げる。
闇の帝王を倒すにあたって、彼女の死は避けられぬ犠牲。ハリー・ポッターが死ななければならない事については、苦虫を噛む思いで肯首した筈で、私はそれに従って、闇の帝王の右腕を演じ通した筈だった。今更、ポッターが死ぬことに抵抗なんぞある筈もない。そう思い込んでいた。その筈だった。
「ハ、……ハハハ」
私はいつだって、手の施しようがないほど手遅れな事態になってから、大切な物に気付く。掌から零れ落ちていく砂粒のようなソレを、本来ならもっと形づいていたであろうソレを、私はいつも、ただ失わずにすむよう握りしめて、その分苦しめてしまうのだ。
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